こんにちは!2019年ももう終わりですね。
2年ぶりにブログを更新しますみつい改めさんもじです。
無事に進級を続け5年生にはなりましたが、6年生への進級試験で再試にかかってしまいました。結果はまだでていないので来年のブログ更新の際の自己紹介に乞うご期待です。
(※弊学類は6年制です、留年したのに現実逃避をしているわけではありません)
さて、今回は先日12/25,26に文京区民センターで行われた全日本学生選手権2019について書こうと思います。
この大会は学生チェス連盟(http://jccf.blog.fc2.com/)が主催する、タイムコントロール60分1手30秒を6R行うNCS(National Chess Society of Japan)公式戦です。
参加者は全部で26名。我らが筑波大学や慶應義塾大学、大東文化大学、東京大学、上智大学、医科歯科大学などの関東圏の大学のほか、東北大学、大阪大学、長崎大学などの大学から参加しているひともいて、全国規模の大会といえます。
学生チェス連盟はNCSとずぶずぶの友好な関係にあるので、対局時計を貸していただいている他、優勝者には来年行われる全日本チェス選手権のシード権がもらえます。
何を隠そうこの団体、昨年度までは僕が代表を務めていた団体で、昨年の学生選手権ではプレイヤー兼運営として参加していました。ちなみに昨年度の成績は2.0/6.0。運営もしていたとはいえあまりにも悲惨すぎる…
筑波大学からは僕の他に1年生が4人参加し、あべたさんがアービターとして駆けつけてくれました。
今回のリストは3番目なので目標は3位以上、つまり入賞です。
さて、まずは簡単に振り返ってみましょう。
1R K.M. ー さんもじ
1R目の相手は大東文化大学の1年生Kさん。途中何度か読み損ねがあって甘い手が目立ちましたが、序盤の知識の差で得た1ポーンアップをじわじわ拡大していって勝利しました。
2R さんもじ ー T.A.
次は慶應義塾大学の1年生Tくん。Tくんの読み逃しでピースアップし、その後さらにルークアップになったことで投了され勝利となりました。1年生としては十分な序盤の知識があり、今回の大会でも新人2位をとっていてこれからに期待な1年生です。
3R目は同期のN。東北大学からの唯一の参加者ですが、これまでも何度も対局したことがあります。この試合に関してはあとで詳しく見てみましょう。
1日目が終わり、3R終了時点で3.0/3.0の成績でなんと単独トップに躍り出ました。入賞の期待が高まるところですが、1日目の1~3Rと打って変わって2日目の4~6Rは課題の残る試合内容になりました。
4R さんもじ ー R.M.
4R目の相手はリスト1、優勝最有力候補です。序盤の知識の差が如実に現れツーポーンダウンに追い込まれ敗北を覚悟しましたが、粘っているうちに相手が時間切迫になりついには逆転勝利をきめました。この勝利でだいぶ入賞が近づいてきました。
5R Y.H. ― さんもじ
5Rの相手は慶應義塾大学の4年生。安易なポーン突きを咎められワンポーンダウンになりますが、油断した相手の隙をついてエクスチェンジアップまで盛り返します。決定的な優勢とまではいかないまでもドローもありうるような優勢を保持しながら局面を進めていきますが、他の試合が全て終わるなか5Rまできた疲れからか黒塗りの高級車に追突してブランダーを指してしまい、1年生でも気づけるようなチェックメイトをくらってしまいました。エクスチェンジアップまで盛り返した後もお互いミスが多かったため負けるのもしょうがないという感想ではありますが、勝っていれば2位以上が確定する場面であったため負けたことに対するショックはかなり大きいものでした。
ちなみに僕の負けを聞いた検討室はたいへん盛り上がったそうです。ぜってー許さん。
6R さんもじ ― M.H.
この時点での順位は先ほど僕に勝ったYが4.5Pで独走、僕と6Rの相手の2人が4Pであとを追う形ですが、その下には3.5P勢がたくさんいてこの試合にドロー以上でなければ入賞は難しいでしょう。しかし相手のMは以前公式戦で戦ったときはドローでしたが、Chess.comのネット対戦の成績は0勝3敗1ドローで苦手意識があります。
そして敗北のダメージも消えぬなか次の6Rが始まります。イタリアンでスタートしたゲームは黒Qがf6に出てくるバリエーションで進んでいきますが、中盤のストラテジーの差でワンポーンダウンのうえキングの安全性が脅かされる形になり、更に不注意でもう一つポーンを落としてしまいます。負ければ確実に入賞もないため心も折れかけますが、なんとか指し続けていると黒は前がかりになったわりに攻めきれずむしろピースを2つ落としてしまいます。なぜか形勢逆転した僕はそのあとはじっくり攻めて勝つことができました。
そして、僕たちの試合が終わる前にYは負けてポイントが4.5Pで止まったため、この時点で僕の逆転優勝が決定しました。
さて、それでは3Rを少し詳しくみていきましょう。
N.R. - Mitsui Riku
1.e4 e6
2.d4 d5 3.Nc3 Bb4 4.e5 c5 5.a3 Bxc3+ 6.bxc3
フレンチ・ディフェンスのヴィナベル・バリエーションでゲームは始まります。
6.… Qc7 7.Nf3 Ne7 8.Bd2 0-0 9.g3 Nbc6 10.Qe2?
黒の6手目のQc7に対して白は7.Nf3以外にQg4もありますが今回はNf3を選択しました。
白の8手目のBd2は序盤に優先するのはあまり見ない形。白マスビショップを展開してキャスリングを優先する方が自然な気がします。
黒のキャスリングに対し、白は9.Bd3からグリークギフトを狙うこともできますが、黒はNf5またはNg6からのc3で防ぐことができます。白としては黒の形を動かすことはできますが、その後の明確なビジョンがなくては指しにくく慎重にいきたいところです。
しかし、10.Qd2は疑問手です。10.… b6
11.Bg2 a5で白はキャスリングをするとBa6でクイーンとルークがスキュアにされてしまいます。かといってキャスリングをしなくてもa6-f1のラインを白のビショップに抑えられてしまいます。この時僕はf6からfのラインを開いて攻撃することを考えていたのでどちらを優先するか迷っていましたが、b6のポーンが弱くなってしまうこと、黒に白マスビショップをh3に置かれたときにf7のポーンをf6についた瞬間e6のポーンが狙われてしまうこと、普段あまり使わないプランなので不安があることからf6を優先してしまいました。
10.… f6 11.exf6 Rxf6 12.Bg5 Rg8
13.Bh3 Ng6
なかなか難しい局面です。e6のポーンが狙われていて、守る方法としてはNf5があります。僕のこのときのプランはcxd4 cxd4 Rxc3! Qxc3 Nxd4で次にc2のポーンをとったうえでルークを回収するというもので、Nf5からNfxd4といくルートもありましたが、もっと単純にルークでクイーンをキングのピンにしたり次の手でe6のポーンをe5につけるようにしてプレッシャーをかけようとNg6を指しました。
14.Bxe6+
Bxe6 15.Qxe6+
当初はこのときKh8で避けるつもりでしたが、Qxd5の可能性を見落としていたためQf7で受けました。Qf7でクイーンを交換しても白のナイトにルークがあたっていますし、とられたワンポーンは回収できる腹積もりだったのでそれはそれでいいのですが、対局後の検討で相手から聞いたところによるとQxd5をするとナイトが守り切れなくなるらしく、かといってとらなくてもナイトが守りづらく困っていたそうでした。
15.… Qf7 16.Qxf7+ Rxf7 17.Ne5
Ncxe5 18.dxe5 Rf5
18.… Nxe5でもいいかなとは思いましたがナイトとビショップを交換したかったのでRf5で白がf4をついてくることを誘いました。失敗しましたが…
19.Be3 Rxe5
20.0-0-0 b6 21.Rhe1 Rae8 22.Kd2 Kf7 23.Ke2 Ne7 24.f4
Re4 25.Kf3 Nf5 26.Bf2 Rxe1 27.Rxe1 Rxe1 28.Bxe1
白はロングキャスリングをしてd,eファイルにルークを置きましたが、ショートキャスリングでb,dファイルにルークを置く方がよいと思います。
ルークを二つとも交換するとaファイルに黒のポーンが残った時に止めにくくなるため微妙です。
28.… Nd6 29.Ke2 Nc4 30.a4 Ke6
白にa5をつかれたときにbxa5とするとc5のポーンが浮いてしまうためキングを寄せておきましたが、無視してビショップでとられても問題ないようです。
31.g4 Nb2
32.a5 bxa5 33.Bf2 Kd6 34.h4 a4 35.Kd2 a3 36.Kc1 Nd1!
珍しくきまった一手です。ナイトを取るとポーンのプロモーションが止まらず、ポーンを止めにいくとビショップが取られます。
37.Kxd1 a2
38.g5 a1=Q+ 39. Kd2 Qf1 40.Ke3 a5 41.f5 Ke5 0-1
白はナイトをとることを選択しますが黒がクイーンをつくるのを止められません。黒が更にもう一つクイーンをつくるのを止めることもできそうになく、白は投了しました。
といった感じで大会は終了しました。
僕の成績は5.0/6.0で1位になりました。過去筑波大学から学生選手権優勝者は出たことがないので、学生選手権優勝大学に筑波の名を刻むことができてよかったです。また、それに伴い来年の全日本選手権の出場権をゲットしました!がんばります。
大会後は大東文化大の皆さまと打ち上げにいきました。対局と合わせて交流を深められたのではないかと思います。
2019年も本日で終わりになりますが、今年度はまだ終わりではありません!
2月には我らが筑波大学が主催するつくば交流会、大東文化大学が主催する板橋交流会が決定し、3月には春合宿や学生チェス連盟主催の交流会があります。
2020年度も鋭意活動してまいりますので応援のほどよろしくお願いいたします!
僕自身は来年からは国家試験の勉強のためおそらく学生大会にフル参加することはなくなると思います。しかし、今回の大会では1年生の目覚ましい活躍がみられました。他大の先輩に勝ったり、3.0/6.0で新人3位として入賞したりするものも出てきました!筑波に限らず他大の1年生も活躍していましたね。今回の大会の上位陣には今年が最後の人が多く、来年の大会ではまた変わった面子になるでしょうし楽しみですね。
最後に表彰式の写真とトロフィーの写真を載せて終わりにしようと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。よいお年を!