今回は10/8~10に行われた第48回東京オープンについて記事を書きます。
東京オープン3日コースではタイムコントロール90分1手30秒の対局を1日2局、計6局行います。筑波からは僕が3日コース、あべたさんが1日コースに参加しました。
3日コースは53人が参加し、表彰のクラス分けは
レーティングに関わらず全員がオープンクラス、
レーティング1867以下がAクラス(32人)、
レーティング1520以下がBクラス(16人)となりました。
未だレーティングが1491しかない僕はぎりぎりBクラス。Bクラス優勝とAクラス入賞を目指します。
今回は最も上手く指せた2R(ラウンド)を中心に各ラウンドを見ていきたいと思います。
1R目の相手は黒でKUCCのKttさん(以下Kさん)。あべたさんから助言もいただき苦戦を覚悟して勝負に臨みます。
フレンチ・エクスチェンジで始まった対局は19手目を終えて盤面は膠着し、どちらかと言えば白のKさんのほうがやや優勢です。(下の盤面は白番)
さすがはレーティング2043と言ったところでしょうか。次の手が気になるところですが、まさかここで安易にルークを重ねたりはしないでしょう。では次の手を見てみましょう。
20.Rfb1?これは酷い。もちろん20.…Bf5!を指し、エクスチェンジアップ!
さらにそれに動揺したKさんはナイトをタダ落ちし、僕のルークアップが決定したところでKさんは投了。
レーティング差552を覆し見事勝利となりました。
2R目の相手は白でTkhs(以下Tさん)。レーティング2000付近をうろうろしている猛者であり、
1.e4 d6 2.d4 Nf6 3.Nc3
皆「Tさんはモダン(1.e4 g6)使うよ」と言うので軽く手順を覚えたのですが、実際に指したのはピルツ。モダンよりは慣れているのでまあいいかなと思っていると3手目でいきなりe5、この手は初めて見たので少し怖かったです。
3.…e5 4.Be3 Nc6 5.Nf3 Bg4 6.Be2 Bxf3 7.Bxf3 dxe5 8.Bxe5 Nxe5 9.Qxe5 c6 10.0-0 Be7 11.Rad1 Qc7 12.Ne2? Nd7
盤面を見てわかる通りg7のポーンが浮いています。しかしビショップでクイーンを追い払ってルークをg8に持ってきてしまえば白のキングは黒のルークで狙われやすくなってしまいます。Tさんはこの手をほぼノータイムで指したためこの浮いているg7が果たしてミスなのか罠なのかわかりません。ですがここでg7を取らずに他の手を指しても黒のNe5を防げません。そこでf5に持ってこようとe2に回したナイトを放置して、クイーンを特攻させました。
13.Qxg7 Bf6 14.Qh6 Rg8 15.Bh5 0-0-0 16.Ng3? Bxb2 17.Qxd6? Qxd6 18.Rxd6 Kc7 19.Rh6?
ここで遂にミスを犯してしまいます。ルークの逃げた場所が悪くルークトラップにかかってしまったのです。 このままではよくてエクスチェンジダウン、何か良い手はないかと考えていると、ある手順にすればビショップダウンになってしまう代わりにフォーコネクテッドパスポーンができるという事実に気づきました。
19.…Bg7 20.Rxh7 Nf6 21.Bxf7 Nxh7 22.Bxg8 Rxg8
このとき評価値は-0.4でほんのわずかに黒が有利ですが白の進軍が始まります。
23.Rd1 Be5 24.Ne2 Rf8? 25.g3 Rf3 26.Rd3 Rf8 27.f4 Bd6 28.Kg2 Bc5 29.e5 Re8 30.Kf3 Nf8 31.h4 Nd7 32.Nc3 Bf8 33.Ne4 Nxe5? 34.fxe5 Rxe5
このタイミングでピースを切ってももはや白の優位は揺るぎません。
35.g4 Ra5 36.Ng5 Be7 37.Ne6+ Kc8 38.g5 Re5 39.Re3 Rxe3+ 40.Kxe3 Kd7 41.Nf4 Ke8 42.Ke4 Kf7 43.Kf5 Bb4 44.g6+ Kg7 45.Ne6+ Kh6 46.g7 Kh7 47.Kf6 Kg8? 48.Kg6
徐々に黒を追い詰めていき、ここで打つ手が無くなった黒は投了。
今回取り上げなかっただけで他にも悪い手や微妙な手を指していますが、他の対局を書く都合上割愛します。
3R目の相手はAokさん(以下Aさん)。Aさんのレーティングは1741。なぜか勝つにつれて相手のレーティングが下がっていきますが、油断や慢心は敗北を招きます。
実際そうでした。
いや、油断というほどではないのですが、レーティングが1.2Rほど高くないのでじっくり考えて攻めれば十分に攻め落とせると考えていたのです。あ、完全に慢心ですね。その結果時間を浪費したくせに攻めきれず、Aさんの反撃を受けきれませんでした。最後の方は残り1分を切りながら指すことになり、時間落ちで負けてしまいました。よくよく考えてみればAさんは2Rでレーティング2102のHgsnさんにドローを取っているので強いはずですよね。次回のリベンジに向けてがんばろうと思います。
4R目の相手はHmnさん(以下Hさん)。今年の全日本選手権から5ヶ月ぶり3度目の対局です。これまで勝ったことがないためこんどこそ勝ちたいところです。オープニングは想定していたフレンチで長期戦を覚悟しましたが、Hさんは簡単な読み逃しをしてしまったため早々にタクティクスを決め僕は優位に立ちました。しかし3R目で痛い目を見たにも関わらず優勢になって余裕が生まれた僕はその優位を生かしきれず、Hさんに強力な反撃を食らい負けてしまいそうになったため、半ばやけくそになって攻めを始めました。そこまで深く考えず指したその手は奇跡的にパぺ(パーペチュアルチェック)を強制的に起こすことができる手でした。しかし、常にアグレッシブなHさんはパぺを避けて逃げる手を指してしまい、逆にメイト受け無しとなりました。という感じで予想外に3勝目を勝ち取ることができました。ここで東京オープンが終わっていればよかったんですがねえ…
5R目の相手はNgcさん(以下Nさん)。正直言って遥か格上の相手であり、勝てる要素がありませんでした。悪くないと思っていた序盤も検討戦では悪いところが目立ち、中盤もひどい見落としで圧倒的不利となり投了せざるを得ませんでした。しかし、僕が良く使うダッチ・ディフェンスの新しい一面を開拓することができる対局でした。ダッチの研究をもっと進めようと思います。Nさんが対局開始20分後に現れたときの絶望感よ…(今大会では30分以上の遅刻で負けとなります)
6R目の相手はIsiさん。現役の医師であり、同じく医師(予定)の僕としては初対局ながら親近感の沸く相手でした。しかし、肝心の対局は慣れないペトロフに惑いながら指して徐々に追い込まれ、最後はエンドゲームを浅い読みで進め負けてしまいました。正直6試合中で最も集中力の足りてない試合であり、時間を掛けた割りに読みは浅く、時間を掛けずに大丈夫だと思ってすぐ指した手はことごとく悪手という散々な内容でした。ペトロフ・ディフェンスは指す方も少なくないので、もっと理解を深めようと思います。
そんなこんなで3勝3敗の3.0/6.0という成績で今大会を終えました。同じBクラスのSbtさんにポイントで並ばれ、Aクラスでは入賞もできませんでした。タイブレークではBh(対戦相手のポイントの合計)の差でBクラス優勝となりましたが、初日と2日目の成績を考えると残念な結果になりました。3日目なんてなかったんだ…(現実逃避)
あと1勝していればAクラスとBクラスの同時優勝
ちなみに今大会のパフォーマンスは1954とかなりの詐欺レートとなり、今大会だけでレートも80はあがるであろうことが唯一の救いです。来年こそはAクラスで単独優勝できるように頑張ります!
最後に表彰された僕と優勝楯の写真を挙げて記事の締めとさせていただきます。お疲れ様でした。
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